59の認定品が伝える、
伝統の味、本物の味。
遺唐使が伝えた麺の原形がルーツの
細めでコシのあるつるつる麺。
長崎県五島列島の新上五島地域
長崎港から西に約100km、東シナ海に浮かぶ島々。乾麺製造に欠かせない植物油は新上五島特産の椿油、海水塩も新上五島で生産されています。
日本三大うどんの一つとも称される「五島手延うどん」は、生麺ではなく、乾麺タイプの細うどん。伝統製法を引き継ぎ、小麦粉・塩・椿油のみを原料に、添加物は一切使用せず、五島列島の新上五島地域でつくられています。主原料の小麦は、自給率の少ないなか貴重な国産小麦を使用。塩は、五島灘の海水からつくる新上五島産のミネラル豊かな海水塩。植物油は麺を延ばすとき必要となるのですが、これには新上五島産の100%椿油を使用しています。椿油は一般に高級といわれるオリーブオイルよりもオレイン酸を多く含んでいる最高級油で、酸化しにくいため風味とともに品質が長持ちすることにかかわっています。
製法は、生地を切らずに少しずつ延ばして細くしていく手延製法です。製麺の工程で何度も延ばしと熟成を繰り返すため、強いコシが生まれるのが特色。通常のうどんは二日の工程でつくりますが、認定品は乾燥を1日多くして3日をかけてつくっています。これにより、茹で延びしにくく、鍋のシメでもシコシコの食感が楽しめます。
東シナ海に浮かぶ五島列島は、かつて遣唐使船の寄港地であり両国文化の中継地点でした。その遣唐使が五島にもたらしたのが唐菓子の一種「索餅(さくへい)」であり、時代と製法の発展を経て、これが「五島手延うどん」のルーツと伝えられています。「索餅」とは中国語で、「索」が縄、「餅」が小麦粉に水を加えて練ったものの意味。形や製法から、「五島手延うどん」だけでなく日本の麺の原形になったと考えられています。
麺食文化史の観点からは、「小麦に水を加えて、手でひっぱりながら延ばし、だんだん細長くする」麺づくりの技法は五島列島うちの新上五島で受け継がれました。五島手延うどんは、生麺ではなく生地を延ばして干す乾麺であり、秋田の稲庭うどんも同じ乾麺で、五島を経由した北前船の航路に重なっています。
島では、かつてうどんは伝統の祝賀食であり、製法が五島各地に広がり昭和40年頃から「五島手延うどん」と呼ばれ広く流通するようになりました。