59の認定品が伝える、
伝統の味、本物の味。
「自家製味噌」から手作りする、
山里の味が香るふりかけ風お漬物。
熊本県球磨郡湯前町下村地区。
周囲を九州山脈の険しい山々に囲まれた球磨盆地の東にあって、内陸性の気候。厳しい冬の野菜保存の必要から漬物食文化が発達した風土です。
「市房漬のきりしぐれ」は、味噌から手作りする無添加の味噌漬物を60年以上も世におくりだしている婦人団体が、手作りするお漬物。ここで生産する「市房漬」(平成20年度、本場の本物に認定)の規格外商品を「もったいない精神」で工夫考案して作り出したのが「市房漬のきりしぐれ」です。まず味噌の原料は、地元の球磨地方産の大豆と、九州産の麦・塩・麹。漬け込む漬物原料(大根、にんじん、きゅうり、生姜)と調味材料(柚子、山椒の実)は、地元の生産者が直接加工場に持ち込んでいます。作り方は、まず野菜を味噌漬の以前に1カ月以上も塩に漬けて水分を抜きうま味を凝縮させます。その後、味噌床に2~3カ月漬けこんで味噌漬=市房漬をつくり、これをみじん切りしたものに、大釜で柚子の皮・山椒などで味のアクセントを混ぜ合わせます。さらに仕上げで、地元名産の球磨焼酎・醤油・ごまを加えて味を整えます。山里のお母さんたちが手間暇と技をかけて、味噌をはじめ調味料の醤油でも防腐剤や着色料などの人工添加物をいっさい使わず、おいしく安全な食を追及したお漬物です。
当地では昔から各家庭で麦味噌をつくる食文化があり、これを背景に組合では原料を漬け込む味噌から手作りしています。味噌づくりにも、球磨焼酎の名産地ならではの特色が生かされています。焼酎の仕込み用に使われた大甕(かめ)を味噌樽として活用しているほか、味噌づくりや味付けの仕上げにも風味付けとしても球磨焼酎を使っています。組合は、農家の主婦の集まりを母体に発展した婦人団体で、発足当初から「安心できるおふくろの味」を追及した漬物づくりを続けています。組合がかかげる良い食品づくりの基本理念は「安全であること、ごまかしのないこと、味のよいこと、価格が妥当であること」であり、その信念に基づいて誕生したお漬物が「市房漬のきりしぐれ」なのです。名称は、この地が年間100日近くも朝霧に包まれること、みじん切りにした漬物をしぐれに見立てて名づけられました。