59の認定品が伝える、
伝統の味、本物の味。
地元産の飛魚を使い
昔ながらの炭火で丁寧に焼き上げる
松江市。
島根県東部沿岸で水揚げされた飛魚のみを使用します。
原料には、淡白だが脂がのった島根県東部沿岸で水揚げされた飛魚だけを使用しています。漁獲量の減少に伴い、あご野焼き製造者のほとんどが他の港で水揚げされたものを使用するようになっている中で、あくまでも地元産にこだわっています。
製法も昔ながらの手作業です。飛魚の頭と内臓を取り除き、水洗いした後、採取機にかけて魚肉と骨、皮、鱗に分けます。魚肉を水でさらし、布袋で絞った魚肉をミンチとカッターにかけてから、石臼で練って、塩、地伝酒などで味付けをします。こうして出来上がったすり身を1m以上もあるアルミ棒に手早く巻きつけ、炭火で焼き上げます。焼く工程もすべて手作業です。焼き台の上でくるくる回るすり身を、中まで火を通すために生け花の剣山のような「突き立て棒」でぽんぽんと叩き、一本一本感触を確かめながら、30分ほどかけてじっくりと丁寧に焼き上げていきます。独特の弾力のある歯触り。淡白でありながらも、ゆっくり噛みしめると深い味わいがでてきます。
あごを原料とした「あご野焼き」は松江名物で、その昔、松江藩主も食した地域伝統食品です。氷もない時代に、漁師が獲れたての飛魚をすり身にし、竹に巻きつけて焼き、保存食として家路に運んだのが始まりとされています。いわば、蒲鉾の原型といえます。
戦前までは、初夏になると蒲鉾店で焼くあごの香ばしい匂いが辺り一帯に漂い、松江の風物詩になっていました。戦後になると、漁獲量の減少や食生活の多様化の影響を受けて老舗の蒲鉾店の多くが廃業し、製法も従来の炭火焼きから機械化による大量生産に変わっていきました。こうした中で、厳選された原料と炭火による製法を頑なに貫いているのが「青山蒲鉾店」です。平成6年には、江戸古来より出雲に伝わる料理酒「地伝酒」を使ったあご野焼きを復活させ、昔ながらの味をよみがえらせました。