59の認定品が伝える、
伝統の味、本物の味。
40年ぶりに蘇った特産野菜を
じっくり乳酸発酵させた
高菜の古漬
佐賀県唐津市相知(おうち)町一帯。
佐賀県唐津市相知町を中心に、同条件での相知高菜栽培が可能であるJAからつ管内の栽培地区。また、漬け込みと加工を行う相知町近郊の西松浦郡有田町を本場とします。
高菜は九州地方で広く食されているおもに漬物用の野菜で、各地に特産の高菜があります。「相知高菜」は、産地名に直結し、佐賀県中部の相知町楠村という山村が産地であることから名付けられました。相知町は名水の里で、川の合流地(相知の由来は、会う地)であるため土壌が肥沃、また霜が降りにくい環境が高菜栽培に適しており、ココで育つ相知高菜は小ぶりながら葉が大きく繊維やわらかで、食感もやわらかいのが特色です。
漬物の原料となる「相知高菜」は、より安心安全にこだわり、緑肥を使って土地改良し、減農薬で栽培。秋に種をまき、翌年春の収穫は生産者と漬物業者が総出で行います。収穫後すぐに木樽への漬け込みを行い、ウコン塩を振り込み、3カ月間樽の中でじっくり乳酸発酵させます。この乳酸発酵によって生まれる酸味と旨味、ウコンの色合いと風味が相知高菜漬ならではの絶妙な味わいと芳香、素朴な飴色の色調をもたらします。低農薬で大切に育てられた相知高菜を原料にした古漬けの素朴な味わいが、静かな人気を呼んでいます。
「相知高菜」は、昭和40年代まで唐津市相知地区を中心に盛んに栽培されてきた特産野菜で、炭鉱の労働者や庶民の食卓の定番漬物でした。しかし、農家は小ぶりな相知高菜より収穫量が多い大型品種(三池高菜)の栽培に移行しため、生産が激減し「まぼろしの高菜」に…。
平成10年頃、佐賀県漬物工業協同組合の前田理事長は全国漬物協同組合連合会の地域特産品委員会の活動を機に、子供の頃よく食べていた「相知高菜」を捜し始めました。そして平成19年、相知地区の高菜農家の納屋から、少量の種を発見。翌20年佐賀県東松浦農業改良普及センターで種子の採集を行い、本来の相知高菜に近いものを厳選しつつ、交配を繰り返す努力が続けられ、平成21年春に初収穫し漬け込みを行って、かつての相知高菜漬を復活させることができたのです。現在、種子管理はJAからつ管内の相知町農産物加工団体「逢地の里」1カ所で厳重に行い、相知町の契約農家5軒と漬物業者で「相知高菜」の栽培を手掛けています。