59の認定品が伝える、
伝統の味、本物の味。
江戸時代から名を馳せるウニの風味が
濃厚な日本三大珍味のひとつ。
福井県福井市
福井県は、昔から越前カニとともに越前ウニも当地名産の海産物。近年は漁獲量が減少したので国産ウニを入荷していますが、取り扱いの本場は福井県福井市になります。
ウニ・海胆・雲丹の表記で「雲丹」とは、生食のウニではなく、ウニの塩加工食品のこと。「越前の御雲丹」はウニのうま味が凝縮した塩加工食品で、江戸時代に天たつ祖先が製法を考案したものです。
「越前の御雲丹」の原料になるバフンウニは、磯の香りと甘味が強く、塩蔵法に適した種類です。ただし直径3~4cmと小形なので、ウニの身=卵巣の量も極めて少なく、このため100gの「越前の御雲丹(汐うに)」には100個以上のウニが使われるという贅沢さとなっています。なお、原料は塩とバフンウニのみで、練りウニ製品でよくあるアルコールやミョウバン、でんぷんは一切使用していません。
「越前仕立ての御雲丹(汐うに)」は、江戸時代より約200年引き継がれた塩蔵法によって、すべて手仕事で仕上げられています。「越前の御雲丹(粉うに)」は、汐うにを乾燥粉砕して、竹の筒容器に入れたふりかけです。酒の肴や贈答品に根強い人気がある珍味です。
ウニは奈良時代から越前(福井県の旧名)の名産物であり、奈良・平安時代には若狭街道を経由して奈良の平城京へ、京都の平安京へ、日本海の魚類やアワビとともに献上されていました。
「雲丹」(加工品)の誕生は、江戸時代後期、越前福井藩主の松平治好公(第13代藩主/1768~1826年)の治世に入ってからのことです。城下の天野五兵衛(天たつ当主3代目)は、治好公より「日持ちするウニの貯蔵品」をつくるようにと命じられたことを受けて、現代に続く塩蔵法による「越前仕立て御雲丹(汐うに)」を考案。福井藩がこれを朝廷・諸藩への献上用・接待用に使って好評を得ました。徳川将軍家にさまざまに献上される品々のなかでも「長崎のからすみ」「尾張のこのわた」「越前の雲丹(汐うに)」、この3品は美味であり、希少価値が高く、天下の三大珍味と称されていました。ちなみに、昔は汐うに百匁(もんめ)(約400g)が米1俵(約60kg)と交換されていたほどです。